ミックスボイスとは地声と裏声の間を、初心者がつかむための考え方と最初の練習
高い音で、地声だと叫んだようになり、裏声だと弱く聞こえる。その間をつなぐ声として**「ミックスボイス」**という言葉をよく見かけます。
この記事では、初心者がつかみやすい考え方と、最初の練習をまとめました。
高いところで声がひっくり返る。地声で押し上げると、のどが苦しい。裏声に逃げると、急に声が細くなってしまう。
こうした悩みの多くは、地声と裏声の「間」の使い方に関係していることがあります。ミックスボイスは、その間をなめらかにする目標として語られることが多い言葉です。
ミックスボイスという言葉が指していること
先に、言葉の意味をそろえておきます。
- 地声:ふだん話すときの声。太く、はっきりした音になりやすい声です。
- 裏声:高い音で、ふわっと軽く抜けるような声。ファルセットとも呼ばれます。
- ミックスボイス:地声と裏声の間を、段差を感じにくくつないだ声を指すことが多い言葉です。
ミックスボイスは、学問の用語として1つに決まった定義があるわけではありません。
先生や教本によって「裏声に地声の響きを足した声」と説明されることもあります。「地声を軽くしていった声」と説明されることもあります。
入り口は違っても、目指している感覚は近いことが多いです。どれか1つの説明にこだわりすぎなくて大丈夫です。
まず、自分の「切り替わるところ」を知る
地声から裏声に切り替わるあたりの音を、換声点(かんせいてん)と呼びます。声がひっくり返りやすいのは、たいていこのあたりです。
ミックスボイスの練習は、この換声点のまわりで行うことになります。だから最初に、自分の換声点がどのあたりにあるかを知っておくと、練習の場所が決まります。
- 楽な低い音から「あー」と、地声で少しずつ上げていきます。
- 声が裏返る、または急に苦しくなる音を覚えておきます。
- 今度は裏声で、高いところから少しずつ下げていきます。
- 裏声が出にくくなる音を覚えておきます。
2と4の音が近いところに、あなたの換声点があります。地声の一番上と、裏声の一番下が重なる範囲が分かると、どこを練習すればよいかが見えやすくなります。
音の高さを自分で聞き分けるのが難しいときは、ツールで測る方法もあります。
裏声から近づく、最初の練習
初心者には、地声を押し上げるより、裏声の側から近づくほうが試しやすいことがあります。のどに力が入りにくく、苦しくなる前に止めやすいからです。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 裏声で「ほー」 | 換声点より少し上の音で、軽く長めに出す |
| 2 | 裏声のまま「ほー」を少し下げる | 換声点の音まで、ゆっくり下りる |
| 3 | 鼻に響かせる「んー」(ハミング) | 同じ高さで、鼻のあたりが響く感じを探す |
| 4 | 「んー」から「なー」「ねー」に開く | 響きを残したまま、口を少しずつ開ける |
| 5 | 換声点のまわりを上げ下げする | 半音ずつ、声の段差が小さくなるところを探す |
「な」「ね」のような、鼻に響きやすい音から始めるのには理由があります。響きが前に集まる感覚をつかみやすいからです。
「あ」は口が大きく開くぶん、声がばらけやすいので、慣れてから試すとよいでしょう。
段階5では、声の段差を「なくす」ことを急がず、「少し小さくなった」と感じられれば十分です。1回の練習は5〜10分くらいから始めて(時間は見本です)、のどが疲れる前に終えます。
うまくいかないときに見直すこと
ミックスボイスは、すぐにつかめる人もいれば、時間がかかる人もいます。うまくいかないときは、次の点を見直してみてください。
声のタイプによって、換声点の位置は違います。
低めの声の人は、比較的低いところで切り替わりが来やすい傾向があります。高めの声の人は、もう少し上で来やすい傾向があります。
人と比べず、自分の換声点のまわりで練習するのが近道になりやすいです。
ひとりで判断しにくいときは
ミックスボイスは、「今の声がそれなのか」を自分で判断しにくい声です。録音して聞き比べると、地声に寄っているか、裏声に寄っているかが分かりやすくなります。
スマホの録音で、練習の最初と最後を聞き比べてみてください。
それでも判断が難しいときは、ボイトレ教室の先生に声を聞いてもらうという方法もあります。教室によっては無料体験があるので、今の声の状態を確かめる機会として使えます。
のどの痛みや声のかすれが続くときは、練習を止めて、耳鼻咽喉科などの医療機関に相談してください。
まずは、自分の地声と裏声の範囲を知るところから始めてみましょう。
ひとりで練習しても変化が分かりにくいときは、先生に声を聞いてもらう方法もあります。